水の浄化について
●水槽内での水の浄化について(水溶物質編)
前項でも少しふれたように、水槽内の水を浄化する方法の一つにろ過材や活性炭などの吸着能力を利用したものがあります。もちろんこれらは生物ろ過をする前項のような浄化バクテリアの着床場所としての機能もありますが、ここでは主にその吸着と水溶物質について記述していきたいと思います。
水槽内には、もちろん目には見えませんが、様々な物質が溶け込んでいます。元々育成に使用する水道水や井戸水には既に何種類もの物質が含まれており、ちょうど人間の口に合ったものはミネラルウォータとして流通していることは周知でしょう。水槽内ではこれに加えて、魚や水草・石や流木など水溶物質を増やすもの・減らすものが入っており、自然界に比べると水槽内ではその増減が激しいことを先ず知ってください。
魚や水草の種類や元々の生息地域によって、その必要量や種類は様々ですが、一般論として水溶物質は少ない方がコケの発生も抑えられ、育成管理がし易くなります。しかし、水槽内ではこれが多くなりがちで、一部は水草や魚・バクテリアなどにより吸収されますが、その殆どは水替えによって、又はろ過材や活性炭の吸着によってある程度少なめにキープした方が育成管理はやり易くなります。水替えの頻度を減らしたいならば、少々高価でも、能力の高いろ過材や活性炭を使用することになります。
よく吸着とは化学反応が起こっていると誤解されている場合がありますが、実際は物質の引力・イオン結合などによって引き付けられる現象で、その力はあまり強くありません。また、単純に小さな穴に物質が入り込み、はまって出なくなるという状態でもありません。
簡単に言えば、活性炭内のある大きさの穴の中に、たまたま水溶物質が通過しようとした時にそこにある活性炭の成分とその物質がお互いの引力によってくっついて、かつその穴が物質にちょうど良い形だっただけ・・・というくらいの実に気まぐれな現象でしかありません。人間で例えるなら「ナンパ」みたいなものでしょうか?
また、吸着されたものは何らかの原因で離れていくと考えられていますが、それはそのろ過材や活性炭の品質レベルや特性能力により、放す物もあれば簡単に放さないものもあります。
重要なことは如何に水溶物質を減らすかという事ですので、毎日のように水替えを出来る方(ベアタンク飼育)にはこのような用品は必要ないかもしれませんが、普通水替えは誰にでも非経済的・苦痛作業です。
特に水草の育成水槽では全体的に低く抑えることが重要で、例を上げると、1、鉄分など各種ミネラル物質・2、窒素系物質・3、リン酸系物質・4、カリウム系物質の増減が育成のキーポイントとなります。
1と4は育成を続けるうちに水草の光合成や生長に使われ徐々に減少していき、2と3は魚のエサやフンによる影響で増加していく傾向にあります。
つまり、減ったものは追加して(1ならミネラル補給「AMS78」、2ならカリウム添加「ソダーツK」)増えたものは排除していく(2なら「水創エナジー」又は水替え、3なら給餌の抑制又は水替え)ことが維持管理を楽にし、長期的な育成を可能にするのです。
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